10.再発・・初めての救急車『リカの難病入院日記』 *登場人物はすべて仮名です10.~再発・・初めての救急車~ 私:「どうしよう・・!足が、左足が動かない・・・!」 今まで足の感覚障害はあったものの運動障害にはなったことがなかったので頭が パニックになった。右足はかろうじて動くものの、しびれと痛みがきついので 両足ともほとんど動かせる状態ではなかった。 母:「病院へ・・タクシーは無理だから救急車、呼びましょう・・!」 その頃マンションの3階に住んでいたので下まで自力では降りられないのでタクシー ではなく救急車を呼んだ。サイレンは鳴らさないで来てくださいと頼んだが、 規則なので無理、という事で救急車はサイレンを鳴らしてやってきた。 すぐに救急隊員達が部屋に入ってきて、布のタンカに私を乗せてマンションの 下まで運び出してくれた。そして近所の人達の好奇な視線の中、母と共に初めての 救急車に乗り込んだ。 救急隊員:「どこに運びましょうか・・?」 母:「昨日まで○○大学病院に入院してて昨日退院してきたばかりなんです・・。」 救急隊員:「わかりました!ではそこへ行きます・・。」 そして救急車は○○大学病院へ向かった。遠いけど、他の車が避けてくれるので 少しは速いかと思ったが、救急車でも1時間はかかった。 救急車の中でとても不安だった。自分の足が動かない恐怖と戦っていた。 車の揺れが頭に響くのでとても気分が悪くなった。早く病院に到着する事だけを 願っていた・・。 すでに隊員の人が病院内に連絡していたらしく、救急車が着くとすぐに主治医の 奥田Drがあわてて車椅子で迎えに出てきた。 私:「先生・・私の左足が・・動かなくなってしまったんです・・。再発ですか?」 奥田Drは無言で車椅子を押していた。そして私は外来の看護婦さん達に預けられた。 ステロイドのパルス点滴をまた打ってもらった。今回は外来の看護婦さんだったので 1回ですぐ針は無事に刺さった。 Nrs:「昨日、退院したばかりなの・・?(驚)可哀想に・・・!ねえ?」 Nrs:「退院する前から足がおかしかったんだって・・?それなのに退院? あら~可哀想に・・!(怒)」 2人の看護婦さん達が口々に同情してくれた。そばにいる私の主治医とその上司に 聞こえるように憤慨した様子で言ったので、先生達は少し肩身が狭そうにしていた。 Dr:「児島さん・・これはやはり再発ですね・・。」 と、部長先生の次に偉い先生が来てそう言った。その言葉を私は点滴を受けながら ぼんやりと聞いていた。 私:「でも・・このステロイドの点滴でまた治りますよね?」 しかし先生はその問いにははっきりとは答えなかった。 「元に戻るかわからない」という事らしい。 点滴が終わり、緊急の再入院の手続きをして、また入院部屋へ戻った。 昨日、お別れをしたばかりの部屋の皆とまた顔を合わせた。 部屋の人達も退院したばかりの私が今日またぐったりとして再入院してきたので 驚いているようだった。 大竹姉さんが心配そうにベッドまで来てくれた。 大竹:「リカさん・・大丈夫?やっぱり足がおかしいって言ってたもんね・・?」 大竹姉さんがこの日、退院するのでその後のベッドに私が入った。 昨日までの私のベッドにはもう違う新しい人が入っていた。 尿が全く出なくなってしまったので尿道にバルーンを通す。前に友人が入院した時 「おしっこの袋をぶら下げる」と言っていたけど、これの事か・・。 これをすると膀胱に尿が溜まると自然に尿が取り出せるらしい。袋にある程度 溜まると取替えに来てくれる。しかしこれも長い事続けてると、尿道にばい菌が 入りやすくなるので早く自力で出せるようにはなった方が良いらしい。 しかし、今回の再発はかなり大きい範囲で炎症が起きているらしく点滴をしても すぐには良くならなかった。 |